Mary J. Blige : Breakthrough (2002)

メアリー・Jほど、心痛をよく知っている者はいない。だが、7枚目のアルバムをリリースした彼女について、もっと重要なことは、歌いたいという渇望を誰よりもよく知っているということだ。『The Breakthrough』は膨らんでいく噂とは反対に、回顧主義でもないし、グレイテスト・ヒッツ的な内容でもない。ブライジとプロデューサーのドクター・ドーレ、ジミー・ジャム、テリー・ルイス、ウィル・アイ・アムらは痛みの川をかき混ぜて、最高品質のヒップホップ/ソウルに溶けこませ、ブライジが『ため息つかせて』サントラの「Not Gon’ Cry」でヒットを飛ばして以来の、ラジオ受けしそうな曲を作っている。豪華なゲスト出演者の名前だけでも、このアルバムを売ることができそうだ。ブルック、ジェイ・Z、ラファエル・サディーク、ボノが参加している。だが、何と言っても目玉は、全16曲をまぶしく照らすスター、メアリー・J・ブライジの極上のソウルだ。”あなたが壊した愛は本物の愛じゃなかった”と素顔の彼女が「Ain’t Really Love」で私たちに現実を思い出させ、「Good Woman Down」を”私の悩める仲間たちに”捧げる。その間に、彼女は愛しい人なしではいられないことをはっきりと語ってもいる(「Be Without You」)。陶酔させ、高らかに愛を宣言する瞬間がこのCDには詰まっている。切々と訴えるカーティス・メイフィールドの響きをもった「Can’t Get Enough」を聴いてみよ。ブライジは恋に悩むという考えからは離れることはなかったから、ブレイクスルー、つまり状況打破は必要なかったが、巧みな告白の音楽を聴きたい人ならば、ブライジが『The Breakthrough』を届けてくれたことをとにかく喜ぶはずだ。

amazon MP3 : ザ・ブレイクスルー

Sony Music Unlimited : Mary J. Blige : The Breakthrough (2002)

Breakthrough features songs produced by Brian Michael Cox, Rodney Jerkins, the Black Eyed Peas’ Will I Am, Jimmy Jam & Terry Lewis, Dre & Vidal, Johnta Austin, Raphael Saadiq and others. The first single is the smash hit ‘Da MVP’. Geffen. 2005.

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