ジャネット・ジャクソンの『Janet』は、1993年リリースの記念すべきVirginレコード移籍第1弾。
『コントロール』『リズム・ネイション1814』の強烈ダンス・サウンドからさらに進化し、
ジャネットのアダルトな魅力が存分に発揮された名作。(Geoffrey Himes, (C)RS,Amazon.com)
amazon : Janet (1993) By Janet Jackson
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ジャネット・ジャクソンの『Janet』は、『Thriller』以来のマイケル・ジャクソンの最高傑作である。同時に、もはや何のアルバム以来か思い出せないが、マドンナの最高傑作なのだ。何を言いたいのかって? つまり、この3人のエアロビクス・ビデオ・スターの中では、マイケルの妹であるジャネットだけが「軽快なダンス・ポップはセックス、フック、ビートが命」と悟ることができたということだ。また、いつまでも幼児期から抜け出せないマイケルや、あくまでもビジネスとしてセックス・アピールにいそしむマドンナに比べると、甘いメロディーと躍動感のあるグルーヴから性的魅力を発散させるジャネットの方がずっと信用できるということでもある。
1989年の『Rhythm Nation 1814』では、社会評論家気取りで聴く者を困惑させたジャネットだが、今回は自分の得意とする領域に戻ってきた。少女っぽさと大人の味が奇妙に入り混じった彼女の個性は、ダンス・ナンバーを身近で切実な人間関係の歌に変える。しかしそれでもなお、全27トラック、75分間におよぶ本作は、アルバムとしてうまく機能していない。水増し用のトラックが多すぎるし、曲の変わり目の小細工にもすぐに飽きがくる。しかし、キラー・シングル満載のアルバムであることは間違いない。とんでもなくセクシーな「That’s the Way Love Goes」、ロック的なギターに導かれた「If」といった問答無用のチューンの他、プリンスを思わせる「This Time」、モータウン調の「Because of Love」、ため息まじりのバラード「Where Are You Now」、スタックスの見事なカバー「What’ll I Do」など、将来のヒット・ナンバーがそろっている。(Geoffrey Himes, Amazon.com)